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【2019/7】投票所入場券の性別欄、廃止広がる 性的少数者へ配慮(朝日新聞)


投票所入場券の性別欄、廃止広がる 性的少数者へ配慮 https://digital.asahi.com/articles/ASM7C61VBM7COIPE02F.html?rm=699

 21日に投開票される参院選の投票所で、性的少数者に配慮する動きが広がっている。生まれた時にあてがわれた性と異なる性で生活するトランスジェンダーの有権者らのため、愛知県内の9割近い自治体が投票所入場券に性別欄を設けなくなった。投票所で男女を分けて受け付けることをやめた自治体もある。

 朝日新聞が愛知県内54市町村の選挙管理委員会に取材したところ、名古屋市や豊橋市、豊川市など47市町村が参院選の投票所入場券に性別欄を設けないことがわかった。愛知県では2月に知事選があったが、13市町はその後に性別欄を廃止したという。東海地方では、岐阜市や津市なども入場券に性別欄を設けない。

 性的少数者を支援する民間団体「レインボーなごや」(名古屋市)は、投票所入場券の性別欄をなくすように東海地方の自治体に申し入れてきた。トランスジェンダーの当事者は、性別欄で自分の生まれつきの性を再認識させられてつらい思いをするほか、担当者から周りにわかるように確認されてショックを受けたケースもあるという。

 総務省によると、投票所入場券に何を記載するかは市区町村選管に任せている。ただ、5月に開いた都道府県と政令指定都市の担当者向けの会議で、投票所入場券の記載事項が差別的にならないよう、必要性や表現を検討するよう求めたという。

 一方で公職選挙法施行規則には、投票所ごとに投票状況を記録する「投票録」の様式があり、投票者数を男女別に記入するようになっている。男女別の投票者数は選挙人名簿で集計できるが、ある自治体は投票所入場券に性別欄を設ける理由に「(選挙人名簿と)ダブルチェックして正確に集計するため」と説明した。

 愛知県では、豊田市や岡崎市などが選挙事務の担当者用に性別がわかる印を入場券につけ、有権者側にわからないようにしている。田原市は性別欄を設けているものの「男」「女」の表記はなく、数字を振っている。投票所の「投票用紙交付機」には投票に来た人を男女別に集計するボタンがあるが、春日井市は白いテープを貼ったうえに目隠しボードを立て、担当者がどちらを押したか有権者側にわからないようにする。また、東浦町は一部の投票所で受付を男女別にしていたが、今回の参院選からやめることにした。

 「レインボーなごや」の山口徳明・共同代表は「ただ性別欄をなくすのではなく、何のためにこういったことが求められているのかを理解してほしい」と話す。「戸籍上の性は重要なプライバシー。男女別に並ばせたり、戸籍上の性を周囲に聞こえるように言ったりするなど、本人の意思に反して暴露することがないような投票所運営にしてほしい」と訴える。(浦島千佳)      ◇  〈投票所入場券〉氏名や住所が書かれており、選挙の告示・公示日以降に有権者に郵送される。入場券があると、投票所に来た人と選挙人名簿との照合がしやすくなる。忘れたり紛失したりしても投票はできる。「投票所入場整理券」や「選挙のお知らせ」などと呼ぶ自治体もある。


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